東京オペラシティ内にあるNTTインターコミュニティーセンター(ICC)で久しぶりに無響室を体験してきました。
無響室、結構好きで何かしら展示があると聴きに行きます。かなり前に体験した池田亮司の作品が凄かったのですが、まだそれを超える無響室での作品を体験した事はありません。
現在展示されているものは純粋な作品というよりは22.2チャンネル音響を別のフォーマットで再生する実験のような作品でした。
22.2チャンネルの装置で聴いてみたいですが、そうでなくても凄い立体的な音の作品(約7分)でした。
無響室って入った瞬間に真空の部屋に入ったみたいな凄いパワーというかブラックホールというか、かなり特別な体験ですよね。
係員に連れられて入室し、説明を受けるのですが、もうその声が凄い生々しく聴こえて(その声がどこから出ているかが極度に明確、もしくは反響が無いため位置を掴みづらいのか?まずびっくりする)その時点で毎回テンションが上がります。
説明というのはどういうことかというと、ICCの無響室の作品は大体どの作品も無響室の真ん中に1つ置かれた椅子に座って、真っ暗になった状態で1人ずつ体験するのですが、この異常な空間で人によってはパニック状態になる場合もあるらしく、精神的にきつくなってきたら椅子の下にある非常ボタンを押してくださいとか、曲が始まったら椅子から動いてはいけない(真っ暗で危ない)とか、終わってもすぐに立ち上がらず、係員が来るまで待つとか、そういったものです。一応外からは部屋の中の様子が暗視カメラでモニターされているので何かあっても大丈夫なようです。
その説明が終わると係員が退出し、スタジオにあるような重い扉がガチャンと閉められ、1人になった無響室で完全な静寂の中電気が消され、目を開けても完全に暗闇になります。ワクワクな瞬間です。笑
声を出しても壁からの反射はなく、布団の中でヘッドフォンをしてマイクで拾った自分の声を聴いているような感じです。
作品の内容は書きませんが、かなり立体的な音の体験です。22.1チャンネルでジェイコブ・コリアーが作ったのを体験したら白目むいて気絶するかもしれません。笑 その時は非常ボタンを押しちゃうかもしれないです。
ICCの常設無響室は常に何かしらの展示があるわけではないですし、現在展示中の「オープン・スペース2021」は無料なので、無響室を気軽に体験してみたい人にはおすすめです。とはいえ今展示中の作品は(小さいスピーカーで2チャンネルなので)無響室の本領発揮という内容ではなかった、という事は書いておきたいと思います。
↓作品はこちら。もしICCに行かれる場合は事前に聴かない方が良いと思います。
元の音源がかなり立体的なので、部屋で聴いてみても無響室で聴いた感じにと比べてもまあまあいい線いってました(結構吸音を頑張っている部屋でRME UCX>SoundID Reference>ADAM S2Xの環境)。まだPCにHDDが入っているので、やっぱり完全な静寂にはならないため、そこが惜しい感じです。