先日この記事を目にし、近所だしドルビーアトモス制作環境も気になったので行ってきました。Base Shimokitaは簡易録音施設兼イベント(ワークショップ)スペースのような場所でした。
7.1ch(リスナーを囲むように)+4ch(上方四隅に)という配置で、前方奥にはiLoud Precision MTMが設置してあり、ドルビーアトモス環境とiLoud Precision MTM(2ch stereo)との比較がボタン一つで切り替えできるようになっていました。
また、ドルビーアトモス用の11個のスピーカーは iLoud Micro Monitor Proと iLoud MTM MKII
をクリックで切り替えて比較できるようになっていました。
前提として私は映画館以外ではドルビーアトモスを体験するのは今回が初めてかつ、どういう仕組みのものなのかあまり解っていない状態での体験です。
まず、上方に4つスピーカーが設置してある事に気づきました。高さの概念があるのですね、初めて知りました。それ以外の面では5.1chのシステムにスピーカー台数を増やしてより方向感を出せるにしたような印象でした。
とりあえずTYLAとJacob Collierのドルビーアトモス対応の曲達を聴いてみたのですが、元が2chステレオ用に制作されたものを一応ドルビーアトモス用にもミックスしてみた、的な印象で、これは凄い!という感じはありませんでした。というかジェイコブのMoon RiverとBridge Over Troubled Waterは2chでも鳥肌が立つくらい凄いのですが、確かに、更に凄みが増してはいました。リバーブの減衰が後ろ&上にもあるのは確かにステレオで聴くのとは違う体験でした。
また、ドルビーアトモス体験におすすめの曲(映画のBGMのような曲)みたいなのを聴かせていただいたのですが、たしかにこの曲に関しては色んな方向から音が出るようにミックスされていて、なるほど、という感じがありました。
ちなみにこのスペースは通常のスタジオのように吸音等で音質が整えられた部屋ではなく、このシステムをデッドな部屋に置いたら臨場感が増しそうだなと思いました。ただ、これら小さなスピーカーでドルビーアトモス制作環境を構築するとこんな感じになるのだな、という感触はバッチリ掴むことができました。これだけでも体験する価値はあったと思いました。スピーカーが11個必要なので一つのスピーカーが高価だととんでもない額になってしまうので、これくらいが個人利用には現実的なところなんだろうなと思いました。
また、ドルビーアトモスの出力音にはSoundIDの補正が入っていて、補正なしの音と比較することもできました。これについては自分がSoundIDの補正を普段から使用しているので、まあそうなるよね、という感じでした。補正をかけると特に中低音部分がフラットになっていました。IKのスピーカーを使っているのに補正ソフトがIKのARCではないのは、ARCがまだドルビーアトモスに対応していないからです。やはり最近はSonarworksの方がメジャーなのでしょうかね、オーディオインターフェイスのDSPによるリアルタイム補正に対応したり等、Sonarworksの方が先進的な感じがしますね(元は補正ソフトだけでやっていた会社なので当然ですね)。私もUCXをUCX IIに買い替えて再びDigiCheckのスペアナを使いたい感じがしています。
個人的にはドルビーアトモス体験よりも、奥に設置されていたiLoud Precision MTMの音がかなり良い感じだったことの印象が強かったです。価格もそれなりにするのですが良さそうなスピーカーだと思いました。現在使用しているADAM AUDIOのS2Xと時代は違いますが同価格帯(日本円での価格)で、時代が進んだ同価格帯製品ならさぞ良いのだろうな、と思いました。でも為替相場も考えると同価格帯とは言えないかもしれないですね。調べてみたら2014年のドル円はざっくり105円でした。それにしても随分円安になりましたよね…有事の円買いが大復活したりしない限りもう105円にはならない感じがします。